みなさん、2022年も始まって早々ですが「お金」に関する情報は入っていますか?
そうなんです
今回は少しいつものテイストと異なり真面目な内容になっていますが、聞いたこともいるかもしれない2022年2月1日に政府が閣議決定した『雇用保険法改正案』に関する内容です
実際にネットニュースや新聞などでも取り上げられている内容ではありますが、
今回の記事では雇用保険の改正内容について会社員向けの内容で見やすくまとめてみました
- 雇用保険という名前を聞いたことはあるが内容までは知らないという人
- 2022年2月の『雇用保険法改正案』について要点を知りたいという人
- そもそも雇用保険って何?と思われている人
本記事を読んで頂くことによるメリットは次の通りです
- 『雇用保険』のうち会社員の知っておくべき内容について理解できる
- 2022年2月に閣議決定した法改正の内容の要点を学べる
- 雇用保険料増額のニュースを受けて行動すべき点について学べる
私も以前までは読み飛ばすような内容でしたが、
FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取ってからは今回のような税金・社会保険関連のニュースにはアンテナを張るようになったのでこれを機に理解して頂ければと思います

会社員の方だけでなくこれから就職を考えている学生さんにも将来関わる内容ですので気軽に読んでみて下さいね
2022年2月1日の閣議決定の内容
それでは今回の記事の結論から解説していきます
まずは今回閣議決定した『雇用保険法改正案』の中身から見ていきましょう
要約した内容は次の通りです
- 会社員の雇用保険料負担率が2022年10月より増加
- 負担率は0.3%から0.5%に増加する
- 会社員(月収30万円)の手取りは600円減(年間だと7,200円減)
- 増額の背景はコロナ禍による財源の確保(失業給付等)
負担額増加の内容については後の項目でも解説しています
コロナ禍での財源確保のためとはいえ負担を強いられるのはやはり財源確保の対象となるのは会社員ですね
社会保険も給料をもらう働き方を行なっている限りでは感覚的には税金と同じです
月額600円が普通に働いている限りでは何の得もなく増税されるのは背景を知っておくべきですしそれを受けて正しく行動できるようになりたいですね
会社員の負担率は0.3%から0.5%へ増加(2022年10月から)
それでは気になる雇用保険負担額の変更前後について解説していきます
本記事では一般事業における会社員を例にした内容ですが、保険料負担額の算出2022年10月以降の増額については以下の通りです
時期 | 労働者負担率[%] |
現在〜2022.9 | 0.3 |
2022.10〜 | 0.5 |
通常雇用保険料は年間の支給額をベースに労働者(会社員)と使用者(会社)が支払っています
今回は会社員目線ということで給料に対する『労働者負担率』という数値を用いていますが
通常源泉徴収という仕組みで毎月の給料・年間数回の賞与(ボーナス)に対して一定割合で支払われています
仮に日本の平均年収から月給30万円の会社員をモデルケースとして想定します
『労働者負担率』から控除額を算出すると次の通りです
【従来】 300,000[円/月] × 0.003(負担率)=900[円/月]
【変更後】 300,000[円/月] × 0.005(負担率)=1,500[円/月]
月給30万円の会社員は手取り額で600円相当の減額
前項でも述べた通り雇用保険料の支払額は会社員の負担率増加に従って
月給が30万円の人の場合には900円負担から1,500円負担となるため手取りベースで考えると毎月600円相当が減額となる計算です
これを聞いて皆さんはどんな印象でしょうか?
実際には賞与(ボーナス)も含めた年収440万円ベースで考えると増額は
4,400,000[円/年] × 0.002(負担率増加分)=8,800円
にもなり月額平均で740円の負担が増額です
現代だと代表的なサブスクでイメージするとその影響も考えやすいかと思いますが月に数百円から千円程度あれば以下のような優良コンテンツを楽しむことができるのです
Amazon Prime:500円/月(月額プラン)
dTV :550円/月
Desney+ :990円/月
Netflix :990円/月(ベーシック)
Youtube Premium:1,180円/月
実際に保険内容が手厚くなるという訳でもなく、財源確保のために会社員の手取り収入が減額するという実態については決してバカにせず一緒に考えていきましょう
雇用保険は「生活と雇用の安定」と「就職の促進」が目的
さて雇用保険料の増加についてイメージを掴んでもらったところで次に
という人に向けて「雇用保険」の概要について簡単に説明していきます
今回の概要説明は2部構成で説明します
前半:雇用保険の目的と保険対象・加入条件
後半:会社員が知っておくべき雇用保険が必要になる場面
まず大前提として「雇用保険」の目的としては労働者の生活と雇用の安定と就職の促進です
「保険者」は政府、「保険料」は労使負担
次に雇用保険の体制について抑えておくべきなのはその体制に関してです
「社会保険」は国の制度になりますのでその体制は次の通りです
保険者(保険金を出す人) :政府(国)
被保険者(保険金をもらう人):労働者(会社員)
保険料負担者 :労使(会社員・会社)
生命保険などで考えると
保険者は「〇〇生命」など民間の保険会社だとイメージしやすいですが、社会保険だと国が保険者であるという点が特徴ですね
また保険料に関しては会社員が全額負担ではなく、会社も一部負担している(労使負担)という点についても特徴です
保険手続きの窓口はハローワーク
次に雇用保険関連の対応窓口に関してです
先ほど雇用保険に関する「保険者は政府」として解説してきましたが保険業務の対応窓口については政府に直接申請するようなことはなく、専用の窓口として公共職業安定所(ハローワーク)となります
何らかの事情により退職をした場合に失業手当を申請する場合には
- 離職票(勤務先に退職時にもらう必要があります)
- マイナンバーカード
- 印鑑
- 証明写真
- 銀行預金通帳
が必要になりますので最低限の基礎知識とて抑えておきましょう
加入条件は普通の会社員は基本的に該当
次に会社員含む労働者の「雇用保険加入条件」に関してです
基本的な加入条件としては次の通りです
- 所定労働時間が週20時間以上
- 学生でないこと(休学時の勤務などは例外あり)
- 31日間以上勤務の見込みがある
一般的な正規雇用と呼ばれる「正社員」の扱いであれば勤務先が『雇用保険適用事業所』の扱いであれば雇用保険の加入は義務となっています
注意すべきところは
パート・アルバイト・非正規雇用の契約社員などの雇用形態をとる場合には勤務時間が雇用保険の加入要件となっていることに注意して下さい
会社員が知っておくべき給付は「失業・教育・育休」
続いては実際に雇用保険に加入要件のある会社員の方に対して
「会社員としてこれだけは知っておきたい雇用保険の中身」ついて解説していきます
内容については次の通りで
- 『失業給付』:退職後の生活を支援するために手当として受給可能
- 『教育訓練給付』:スキルアップに係る費用を保険で一部援助
- 『育児休業給付』:育児休暇に係る給与の一部を補償
会社員として働く中で雇用保険は加入義務のある社会保険になってきますが
失業・転職・休業など人生の中で比較的大きなライフイベントにおいては知っておくべき重要な項目はあるのです
勤務先と合わない場合の転職や業績不振による失業、出産を機とした休業など誰にでも関わりのあるイベントに対するセーフティネットとして抑えておきましょう
『失業給付』のキーワードは「自己・会社都合」
まずは雇用保険の代表的な『失業給付』です
ここでは現在勤務している会社で特に退職・転職を考えている人に最低限知っておいた方がいいという内容です
勤務先から失業した場合で雇用保険の中の「基本手当」と呼ばれる給付になります
この失業給付を抑えておくポイントとしては次の通りです
給付日数…失業手当が支給される日数(1ヶ月単位)
失業保険の金額…給付日数の間に支給される給付金額
これらによって算定されます
まず『給付金額』のついては離職前6ヶ月間の日額(賃金日額)をベースに計算されます
この賃金日額に給付率[%]を掛けた金額が実際の給付額になります
給付率は賃金日額により50〜80%の幅がありますが賃金日額が大きい程給付率が小さくなります
こちらもザックリとした把握したいなら月収30〜50万円の幅であれば最終的な給付金額の日額は7,000円程度との理解で大丈夫です
この金額給付する期間を指す「給付日数」を決定するキーワードとなる要因として次の項目が挙げられます
- 「自己都合退職」
- 「会社都合退職」
ざっくりいうと
個人的な理由で自ら退職するのが「自己都合退職」
会社の倒産による解雇や職場のセクハラ・パワハラなどが原因となる退職が「会社都合退職」
といったイメージです
この退職次第で給付条件も大きく異なり、給付日数も変わってきます
- 自己都合退職:退職日以前の2年間に雇用保険の12ヶ月以上加入
- 会社都合退職:退職日以前の1年間に雇用保険の6ヶ月以上加入
まずはこの要件をクリアした上で実際の雇用保険の加入期間・申請者の年齢から給付日数を算出します
1年未満 | 1〜5年未満 | 5〜10年未満 | 10〜20年未満 | 20年以上 | |
〜29歳 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
例えば私の年齢(20代後半)として月収30万円を想定すると雇用保険期間は10年以下になるので給付日数は120日ということになります
ただし上記の算定方法は「会社都合退職」が前提となっており、
「自己都合退職」の場合には全年齢を対象として雇用保険期間のみでの算定となります
1年未満 | 1〜5年未満 | 5〜10年未満 | 10〜20年未満 | 20年以上 | |
全年齢 | – | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
先程と同じ条件で給付日数を比較すると「会社都合退職」の場合の120日から「自己都合退職」の場合には90日へと減少となります
さらに「自己都合退職」の場合には「会社都合退職」と比較して手当支給までの待機期間が約2ヶ月長いという点にも注意が必要です
その他給付期間中には以下のような活動を行ない給付が必要な状態であることの証明も必要となります
- 失業認定日における失業状態の確認(失業認定申告書)
- 再就職活動の実施(ハローワークでの職業相談の実施など)
実際に退職時の給付金額と給付日数の算定イメージは持っておいて実際の流れについて把握しておいてもらえればハローワークでの相談はかなりスムーズにできるようになるかと思います
『教育訓練給付』のキーワードは「3年」「スキルアップ」
続いてはそもそも存在すら知られていない可能性もある『教育訓練給付』に関してです
ここでは特に転職や社内昇進に向けてスキルアップ・資格取得を行いたいという人に対して有益な内容です
このあたりは基本的には他人から勧められて行動するのではなく自分から行動が必要になりますので認知の割合も少ないような印象です
制度の要約としては以下の通りです
イメージとしては受講料20万円のプログラミングスクールを受講して修了後にハローワークに申告すれば受講料の一部(4万円)が給付されるような仕組みです

この制度のキーワードとしては制度が使用できる条件となる「雇用保険の被保険者期間」に注意が必要です
初めての受給 | 雇用保険被保険者期間:1年以上(教育次第で2年以上もあり) |
2回目以降 | 雇用保険被保険者期間:3年以上 |
あとは新入社員等の雇用保険加入期間が短い方は1年以上の加入期間から支給可能なケースもあるのでチェックしてみてください
教育訓練の指定講座には3種類ありそれぞれで支給額の考え方や上限額が異なるので事前に把握しておくことも重要になります
一般教育訓練給付金 | 受講料の20%相当額が支給(上限は10万円) |
特定一般教育給付金 | 受講料の40%相当額が支給(上限は20万円) |
専門実践教育訓練給付金 | 受講料の50%相当額が支給(上限は40万円) 資格取得の上、就職につながったらさらに20%支給 |
数万円から数十万円の規模になる非常にボリュームも大きい受講が数多く存在しており、以下に示すような自分の取りたいと考えるスキル・資格で独学では取得が厳しいものについては検討の余地は充分ありですね
- 宅地建物取引士
- 行政書士
- 介護福祉士
- 衛生管理者
- マンション管理士
- 第二種電気工事士
- 電験三種
- ITパスポート
- 社会保険労務士
- ファイナンシャルプランナー
- 気象予報士
- 危険物取扱者
- 二級ボイラー技士
- 簿記2級
『育児休業給付』のキーワードは「満1歳」「給与額の一部支給」
3つ目の知っておくべき雇用保険の中身は『育児休業給付』についてです
最近では共働き世代も増えてきており会社側も特に男性の育児休業を推進しているというニュースも耳にします
雇用保険での育児休業給付の基本的な中身については次の通りです
- 満1歳未満の子を養育するために休業した場合に給与の一部を支給
- 給付期間は1歳6ヶ月、2歳へ延長可能なケースあり
- 支給額は6ヶ月までは67%、6ヶ月以降は50%を支給
基本的には育児休業で給料がなくなってしまった場合に国から給与額の一部を支給してもらえるという制度になります
出産休業とは異なり育児休業だと男性が取得するケースもあるので知っておきたい制度のひとつですね
育児休業給付を受けられる要件としては次の通りです
- 雇用保険に加入してあること
- 育児休業開始前2年間に就業11日以上の月が12ヶ月以上
- 育休中に会社から支払われる賃金が休業前の8割未満であること
- 育児休業終了後は職場復帰を前提としている(退職予定の場合には不可)
例外的な部分もありますがまずは基本的な項目を理解するために
休業前過去2年間の間に12ヶ月の就業期間があることが条件になっています
加入要件がギリギリ足りずに給付を受けることができないという状況になると経済的にも非常に厳しい状況が想定されますので事前のご家族で状況を把握しておくのが良いですね
こういった支給を受けるのは保険料を支払っている人に与えられた権利ですのでぜひ知っておいた上で活用していきましょう
雇用保険料の支払額と負担額
続いては実際に給料から天引きされている保険料支払いの考え方について解説していきます
今回の保険料引き上げのニュースと合わせて計算方法について確認していきましょう
保険料支払額の計算【月収に対する割合】
冒頭でも述べている通り
月の総支給額に雇用保険料率をかけたもので算出します
月の総支給額は控除前の以下のような項目を合計した額になります
- 基本給
- 賞与
- 早出・残業手当
- 深夜手当
- 技能・資格手当
- 地域手当
- 扶養手当
- 通勤手当
- 交通費手当
- 家族手当
会社により手当の名前などは異なってくるとは思いますがだいたいこういった名称で記載されているかと思います
この額面に対して雇用保険料率を掛けたものが保険料になります
今回の増額含めて支払いの計算前提となる保険料率と労働者負担率は以下の通りです
変更時期 | 労働者負担率[%] | 会社負担率[%] | 支払合計[%] |
現在 | 0.3 | 0.6 | 0.9 |
2022.4〜 | 0.3 | 0.65 | 0.95 |
2022.10〜 | 0.5 | 0.85 | 1.35 |
一番右の列の合計が実際に国へ支払う保険料率になりますが、支払い者は会社員である労働者と使用者である会社になっています
今回の法改正によりまず全体として支払い率が上がったことと最終的に2022年10月から支給額に対して0.9%から1.35%の増額になっていることが読み取れます
負担額の計算【支払額に対する個人負担割合】
次に実際に会社員が支払う労働者負担率について着目してみると
従来の負担率0.3%から赤字の0.5%へ変更になっています
変更時期 | 労働者負担率[%] | 会社負担率[%] | 支払合計[%] |
現在 | 0.3 | 0.6 | 0.9 |
2022.4〜 | 0.3 | 0.65 | 0.95 |
2022.10〜 | 0.5 | 0.85 | 1.35 |
今回の0.2%が増額となっている点はこの表からも読み取ってもらえるかと思います
ぜひご自身の給与明細から雇用保険料の増額分を一度計算してみてそのインパクトについて確認してみてはいかがでしょうか
増額に対して何を思う? 行動しておいて良かったこと
さて、最後に今回の閣議決定を受けて私自身としては仕方ないと思う反面
と強く感じたのが正直なところです
こういった増税や手数料アップなどお金のニュースを受けて
『行動しておいて良かった!』と感じたこともあります
本記事の締めくくりとして実例付きで紹介していきますので今後の人生設計や家計管理の支援になれば大変嬉しいです
紹介の内容としては次の通りです
- ファイナンシャルプランナー(FP技能士)の学習
- 家族で支出の見直しを実施
FP資格の勉強をしてみる(お金の知識を学ぶ)
最初はファイナンシャルプランナー(FP技能士)の資格の勉強です
詳しい資格の中身については別の記事で紹介しています

3級であれば毎日数時間の勉強を3ヶ月間確保できれば合格可能レベルに達成可能な勉強方法についても紹介しています
私も3級の資格は取得しましたがこの資格を用いて独占業務を行う計画は全くありません
本資格は『お金の知識の第一歩』の学習ができる点が一番のメリットです
税金関連や資産形成・不動産・株式投資などお金の勉強を基礎から学びたいという人にはぜひおすすめしたい行動してよかった内容になります
家族で支出の見直しを行う(支出の最適化)
続いては収入の減少ニュースを受けてからぜひ考えたいのが「支出の最適化」に関する行動です
私も同棲生活をスタートしてから支出については見直す機会が増えました
家族で話し合う中で高頻度でお金がかかる日用品・食費関連の出費に関しては単価は少ないが、年間に換算すると非常に金額も大きくなるのでぜひ見直しておきたい項目です
こちらも他の記事で支出の最適化に関して私が実践している項目をまとめておりますのでぜひ興味があれば参考にしてみてください



まとめ
今回は2022年2月に閣議決定された雇用保険料の引き上げに関するニュースを取り上げました
私もFP技能士の資格を取るまではスルーしてしまいそうな記事ですが
増額の背景とその家計へのインパクトについてはぜひ理解しておきたい内容でした
平均年収の会社員を想定すると10月からの0.2%の負担率の増加で月額600円程度の手取り金額が減少します
またこれを機に雇用保険の中身についての見直しにも活用いただければと思います
今回も記事を読んでいただきありがとうございました